以前の話でご紹介した高校生の研究論文には、もう一つ面白い報告があります。

それは、シャンプー液に髪を長時間(4週間ほど)付け置いても、強度に変化がほぼ無いというものです。

よく言われているシャンプーの危険性の中で、界面活性剤のタンパク質変性というものがあります。

これは界面活性剤がタンパク質を別の性質に変化させることで、分かりやすい例では卵が火を通せば固くなる現象などです。

このとおりなら、シャンプー液に髪を長時間つけておけば、髪はタンパク質なので変性を起こし、強度が落ちるはずです。

ですが実験結果では強度が落ちるどころか、ほとんど変化はありません。逆に少し強くなっているような感じがあります。

これはいったいどういうことでしょう?

シャンプーに浸けた髪が変化がない(または強くなる)推測

実験内容で使用した髪は実験をした教室の学生の2人。検証するサンプル数としては少ないのですが、実験結果では弱くなるという傾向は見られませんでした。

この原因を考えてみると、次のようなものになりました。

イオン結合の影響

髪の毛の強度が強くなる原因で考えられるのは、髪の毛が持つ4つの結合です。

そのなかで髪が pH で影響をうけるのがイオン結合です。

簡単に言いますと、髪は弱酸性の水溶液中ですと結合が最も強くなる、ということです。

シャンプーの多くはこの弱酸性なので、長時間その液の中にいることで髪のイオン結合の数が増え、強度が強くなったのかもしれません。

他の配合物の影響

他に考えられるのが、界面活性剤以外で配合している成分の影響です。

これらの成分で関係してそうなのが、シリコンや高分子のカチオン性ポリマーです。

どちらも髪の表面を保護する成分で、シャンプー時に髪がもつれないように配合されている成分です。

これら成分が髪の表面に吸着し、時間も長く置いていたことで厚く多重に吸着したと考えられます。

髪の強度がつよくなったのは、おそらくこれが原因じゃないかとにらんでいます。

まとめ

もちろん参照するデータとしては少なすぎるので、そうだと確定するには不十分です。

実験に使われた髪は、カラーやパーマをしていない高校生の髪です。おそらくダメージが少ない健康毛。もし実験に使われた髪がダメージヘアだったりすると、結果も変わってくるかもしれません。

まあ、シリコンのような市販のコンディショニング成分は、健康毛のキューティクルに吸着しやすい傾向があります。それも今回の結果に反映されたのかもしれません。

また使われたシャンプー以外、例えばアルカリ性のシャンプーや、とても安価で低品質のシャンプーでは話が変わるかもしれません。

それでもこの実験では、界面活性剤によって髪のタンパク質が変性をおこし、髪の強度が弱くなったということは、確認されませんでした

※引用・参考URL
髪を用いたタンパク質の変性(平成23年度 恵那高等学校 SSH 課題研究