よく「シャンプーでアルカリ性に傾いた髪や頭皮を、リンスやコンディショナーで弱酸性に戻す」などと聞きませんか?

髪や頭皮は弱酸性がいい。なのでそれに戻すべきという話ですね。

これをぱっと聞くと「シャンプーはアルカリ性なんだ」と思ってしまいます。

たしかに、昔のシャンプーはアルカリ性が多かった。

これは製造技術の関係が大きかったと聞いています。技術のレベルが低かった昔は、弱酸性で洗浄力があるシャンプーが作れませんでした。また作れるようになったとしても、高額でした。

ですが時代は進み、シャンプー剤の研究が進みました。製造技術ももちろん向上。現在、販売されているシャンプー、特に市販のシャンプーの大半は弱酸性か中性です。

今の市販のシャンプーのpH

というのも先日、インターネットでこのようなPDFを見つけました。

リンク:髪を用いたタンパク質の変性(平成23年度 恵那高等学校 SSH 課題研究 )

岐阜の県立恵那高等学校の学生さんが、平成23年に研究発表した論文です。

この実験でエッセンシャルやラックスといった市販のシャンプーの pH をいくつか計測しているのですが

結果は次のとおりです。

製品名pH
H&S6.2
マシェリ5.3
エッセンシャル3.7
いち髪6.0
ラックス4.3
メリット3.9
サイオス4.9
パンテーン6.1
髪を用いたタンパク質の変性より

このとおり、製品のほとんどが pH 6 より小さい弱酸性で、値が大きくても中性より酸性側の pH 6.2 です。アルカリ性のものなど1つもありません。

これは今の時代の衛生環境と、製造技術の向上の賜物たまものでしょう。

昔の時代は髪を洗うのも1週間に1、2度でした。今のように毎日のように洗いません。このような環境下なら、洗浄力が強いほうが望まれます。

汚れに対する洗浄力と pH は大きな関係があります。簡単に言えばアルカリ性のほうが皮脂の汚れが落ちやすい。

そして製造技術です。現代では弱酸性や中性でも十分洗浄力を発揮する洗浄剤を、お手頃な価格で製造できるようになったのです。

その点だけ考えても、弱酸性のシャンプーは洗浄力が弱くなっています。

これは8年以上前の古い研究結果ですが、その時代より現在のほうが消費者ニーズや製造技術から考えても、低刺激(=弱酸性)のほうに傾いているはずです。そう変わっていない、むしろ今のほうがその傾向が強いのではないかと考えています。

まとめ

ちなみに「アルカリ性に傾く」とは、弱酸性から中性になっても「アルカリ性に傾く」と言います。アルカリ性側に移動するという意味でとらえると、分かりやすいかもしれません。

最後に、さきほど紹介した研究では、面白いことに「シャンプー液を使った卵白のタンパク質変性の実験」もしています。

上記のシャンプーから pH が低い・真ん中・高いというシャンプーを使い、それらを卵白に入れて放置するというものです。

この実験結果を想像すると、pH が低い(酸性が強い)シャンプーに変性が強く起こると思いきや、実際の結果は真ん中のものが、1番反応が強かったという結果になっています。

この実験結果からみると、タンパク質の変性に pH はあまり関係なく、界面活性剤の種類や量、それ以外に配合されているの成分といった、pH 以外の要素が関係している可能性のほうが高いことが見てとれます。

これから見ても、その製品の pH だけでは、製品の品質を判断できないと言えます。