カットやパーマをしてくれる場所は理容店と美容店の2つあるのですが、誰もが1度はこう思ったことがありませんか?
「どうして理容と美容の2つがあるのだろう?」
この2つの違いは法律で決めれいます。簡単に言えば次の点です。
- 理容は、容姿を整えること
- 美容は、容姿を美しくすること
そのためか、昔は「男性は理容」「女性は美容」と別れていました。ですが近年では、時代の流れや規制緩和などにより、その差はほとんどなくなっています。
ですが、せっかく2つあるのです。明確な違いを考えてみたいと思いませんか?
なので今回は、理容と美容の文字を見て、確実に違う部分、「理」と「美」の漢字に焦点を当て、その漢字の意味の違いから、理容と美容の違いを見いだしてみます。
理容の「理」は、理(おさ)める
まずは理容の「理」です。
理容に使われる「理」という漢字は「王」と「里」が合わさって出来ています。
「王」は「玉」を表し、「里」は「田」と「土」で、耕して筋目をつけるという意味があります。それらから「玉を磨いて模様(筋目)を出す」という意味ができました。
そこから転じ「ととのえる」「おさめる」「分ける」「筋目をつける」といった意味ができ、「地理」や「肌理(はだのきめ)」という意味になったり、「筋目を表す」と意味が抽象化され「理」や「道理」といった意味に使われるようになりました。
これらから理容という字は「容姿を理める」と読めます。「理める」とは容姿を整える、処理する、繕う、といった意味を含めます。
美容の「美」は、美しい
次に美容の「美」です。
美容の「美」の漢字は「羊」と「大」が合わさっとものです。
字には「羊」が大きく関係していて、諸説あるのですが、だいたいは「羊が神の供物に使われた」ことが関係していて、「命を献げて対象を高める、最も崇高な行い」や「神に捧げるもの(羊)は、完全なもの(成熟した羊)」という意味から来ているそうです。
現在での「美」は、時代・流行・人によって違いがあります。意味も容姿の美しいから、美術といった芸術的な美まで幅広く捉えられます。
そんな美という漢字が付いた美容は、その字そのまま「容姿を美しくする」という意味になります。
もう少し深く考える
まとめますと、理容は容姿を理める、つまり「容姿を整える」という意味で、美容は「容姿を美しくする」という意味です。
これでは理美容師法に書かれていることと同じです。なので、もう少し掘り下げます。
まず「美」という漢字は、これ以上解釈を広げるのは困難です。というのも「美」という字自体が強力で、その解釈しかた次第では「容姿を整える」も美の内に入ります。つまり、それが「美」なら何でも入れられます。
なので「理」の漢字を掘り下げます。理は「磨いて筋目を出す」という意味なので、考えかたによっては「余分なものを取り除く」とも取れます。
この解釈を広げると、理とは「余分なものを取り除き、その物の良さをあらわにする」とも言えます。
つまりこれは不要なものを取り除き、そのモノが本来持つ素晴らしいものを表に出す「引き算」の技術です。素材の味を最大限に生かす和食のように、理容とは「その人の良さを引き出す」とも取れます。
この解釈に対称させる形で美容を考えると「足し算」の技術になります。
パーマやカラー、エクステなど、いろんなモノを足すことで「美しさ」を作りあげます。メイクやドレス、着付けなどをして美しく変身することと同じです。それはまるで、味を重ね合わせて美食を表現するフレンチのようです。
どうでしょう、ちょっとおもしろい結果になったのではないのでしょうか? これは理容・美容の漢字の違いだけで考察した話なのですが、実際の理容・美容のイメージと比べてみて、どう感じましたか?