髪の毛は、そのほとんどがたんぱく質。たんぱく質が不足すると髪が細くなったり、薄毛のキッカケになったりするという話です。

ですが、以前の話で「現代人の中には、たんぱく質が不足している人が増えているかもしれない」という話をしました。

少し前なら「この飽食の時代に、ありえない話」だと考えていたのですが、近年は小食・偏食傾向。そのようなデータもあり、たんぱく質が不足しがちな話も現実味を帯びてきます。

例えば、極端な炭水化物ダイエット。

というのも炭水化物ダイエットで主に制限するのはお米です。ですが、お米にもたんぱく質はふくまれています。そして、そのたんぱく質にはメチオニンが多くふくまれています。

対してダイエットで肉の代わりに食べたらよいとされる大豆はたんぱく質が豊富。確かに大豆は良質なたんぱく質なのですが、メチオニンの量が少々すくないところもあります。

食べる量によってはメチオニン不足になりかねません。やせ型志向で偏食気味の現代なら、あり得なくもない話です。

とは言え、たんぱく質を十分取ることは食事量を増やすこと。量が増えるということは同時に肥満といったリスクに近づくわけです。

ではどうすればいいかと言えば、体や髪にとって良いたんぱく質を効率的に摂取するのが理想的です。

その体や髪にとって良いたんぱく質とは何か?というのが、今回の話です。

髪のタンパク質のアミノ酸

まず髪の毛を作っているタンパク質、そのタンパク質を作っているアミノ酸の割合を考えます。

これは以前、お話していまして、そこから参照しますと、次のことが分かります。

  • 必須アミノ酸は全部ある
  • アスパラギン・グルタミンはない
  • シスチン(システイン)が一番多い

やはり特徴的なのはシスチン・システインです。16%から18%と割合が一番多い。生合成に関与するメチオニンを合わせれば16%~18%ぐらいです。これにシステインの生合成に関与しているセリンも合わせると25%から30%ほど(これは関係ないかもしれませんが)。

この中で不足しがちになりそうなのが、必須アミノ酸であるメチオニンと、メチオニンから生合成されるシステインでしょうか。あと必須アミノ酸フェニルアラニンと、フェニルアラニンから合成されるチロシンも可能性があるかも?

これらを多く摂取したからといって誰もが髪が生えてくるというわけではありませんが、髪の元となる成分が十分あることは、髪の毛を作る下地・準備ができている、ということでもあります。

また、たんぱく質不足による薄毛なら、その改善も期待できます。

たんぱく質の「質」

次にこれらの成分が多く含まれている、あるいは少ないたんぱく質を探します。

たんぱく質は全てが同じというワケではなく、食材によってアミノ酸の含有量は変わります。ようはたんぱく質の「質」のことですね。

近年はインターネットのおかげで、この手の情報を簡単に調べるられます。

特に役立つのが、アミノ酸スコア。たんぱく質にふくまれている必須アミノ酸の含有量を判別しやすい数値にしたものです。

アミノ酸スコアは、その時代によって計算方法などの違いでいくつかあります。現在分かる範囲では以下のものです。

  • プロテインスコア
  • アミノ酸スコア
  • たん白質消化吸収率補正アミノ酸スコア(PDCAAS)
  • 消化性必須アミノ酸スコア(DIAAS)

下に行くほど最新のものになっています。最近のものは「消化性必須アミノ酸スコア(DIAAS)」で、FAO(国際連合食糧農業機関)が2013年に提示したものです。その前のものは「たん白質消化吸収率補正アミノ酸スコア(PDCAAS)」で、こちらは1993年ですが、先ほどのFAOに加えWHO(世界保健機関)が提示しています。

これらは今までのアミノ酸スコアの問題点を見直し計算し改めてたものです。特にDIAASは乳清(ホエー)やカゼインといった乳製品関連のスコアが非常に高く、酪農関係の企業や団体が多く支持しています。

参考リンク:
たんぱく質の品質の解釈

これはどちらが正確か支持するかという話ではありません。ご覧のように時代とともにスコアも改められて、これから変わることもあり得ます。

なので個人的には、総合的に見たらよいかと思います。

このスコアが高いものは、基本的に含硫アミノ酸(メチオニン + システイン)芳香族アミノ酸(フェニルアラニン + チロシン)の含有量が高いので、良質なたんぱく質と言えます。

またたんぱく質のアミノ酸は組み合わせによって足りないアミノ酸を補えます。例えば最初に書いた大豆と米の組み合わせは、アミノ酸のバランスが非常に良いと言われています。

参考リンク:
アミノ酸スコア - Wikipedia

まとめ

このような指標にはよくある話ですが、問題点がない分けではないです。例えば量です。スコアの値が高くても、食品全体から見たらある種のアミノ酸が少ない、なんてこともありえます。最初の話ででてきた、米と大豆の話にあるようにです。

ですが、参考とするには非常に役に立つものなのは確か。このスコアで、髪の毛に多く使われ、髪の質や色とも関係が深い含硫アミノ酸(メチオニン+システイン・シスチン)や芳香族アミノ酸(フェニルアラニン+チロシン)の比率が多めのたんぱく質は、「髪の毛に良いたんぱく質」だと言えます。

まあ、アミノ酸スコアが高いたんぱく質は、この含硫アミノ酸や芳香族アミノ酸を多く含んでいますので、結果的にはアミノ酸スコアが高いたんぱく質が良いとなるのですけどね。

なので、髪の毛に良いたんぱく質とは、アミノ酸スコアが高いたんぱく質だと言っても今の所はよく、そのたんぱく質の量が豊富な食材が、髪の毛にとって良い食材だとも言えるのです