シャンプーなどの髪の毛に関係した製品は「薬機法(旧:薬事法)」という法律に基づき、厳しく管理されています。

その一つの例として化粧品などでは、使われている成分名の全表示が義務付けられています。

そして、これら成分名からシャンプーなどの製品の品質などを解析しているサイトがあります。

いわゆる「シャンプー解析サイト」と言われるサイトのことです。

これらのサイトでは、シャンプーやトリートメント・コンディショナーなど、その製品に配合されている成分名で、その製品の良し悪しを判断しています。

ですが、その製品を表示されている成分名だけで判断するのは、少々あやういと考えています。

今回は、その理由についてのお話です。

解析サイトの成分解析だけでは、判断してはいけない理由

髪の毛に使用するシャンプーなどの製品は、ジャンルでいえば「化粧品」や「医薬部外品」です。一部の育毛剤には「医薬品」もあります。

これらには、キャリーオーバー成分1を除いた全ての成分が記載されています。

そしてシャンプーなどの化粧品では、その成分名は共通の名称になっているはずです。つまりAという製品とBという製品で同じ名前の成分があったら、それは同じ成分が使われているはずです。

それら成分名は、私たち消費者のとって役立つものです。例えば、特定の成分でアレルギーや肌トラブルを生じたとします。そうなると次回以降も同じ成分でトラブルが起きる可能性は非常に高い。そんな時、問題を起こした成分を表示成分で確認することで、トラブルの発生を未然に防げます。

また、そのようなトラブルが生じた場合、その容器や箱を持って皮膚科専門医など医療機関に行くと、その表示成分名は治療の際に非常に役に立ちます。

このように成分表示は非常に有効に使えるものですが、その製品の品質の判断となると話は別です。

というのも、次に2つの点から正確な判断は不可能と考えているからです。

配合量が分からない

シャンプーなどの製品にふくまれている成分の中には、配合している量によって性質が変わる場合があります。

例えばコンディショナー(リンス)でよく配合されているカチオン界面活性剤です。

この成分は、多くは皮膚刺激があると言われる「第4級アンモニウム塩」が使われていて、どの成分も高濃度なら刺激があり、皮膚にもよくありません。

ですがこれらは、「安全性に問題ない」と報告されている配合量(濃度)以下にするよう、法律で定められています。

ですが、成分によって刺激があったりなかったりするのも事実。このように、その成分の性質はも大きく関係しているのです。

これはつまり、たとえ「危険だ」「刺激がある」と言われている成分であっても、少量なら問題がない場合があるということです。

逆に「安全だ」「刺激が少ない」と言われているものでも、量が多かったら問題が生じる場合もあるのです。

そして、これら製品の配合量は、製作者がお金と時間をかけて研究・開発しています。そしてもちろん、このように苦労を重ねて作り上げた量や配合比率はとうぜん企業秘密です。

なので、配合量が分からないかぎり、その製品の品質を判断することは難しいのです。

これがよく問題となる洗浄力で言えば、洗浄力が強い成分であっても、少量ならば、洗浄力はそれほど強くありません。逆に洗浄力が弱くても大量に入っていたら、それは強い洗浄力を持つことができます。

さらに言えば、これらの話は洗浄成分だけではありません。例えば、すすぎのときに生じる髪のギシギシを保護して防ぎ、すすぎやすくする目的で最近のシャンプー剤の多くには、カチオン性高分子(ポリマー)といった成分が配合されているのですが…。

この成分が多く配合されていると、すすぎが不十分ですと髪の毛の表面に残ってしまいます。それたが積み重なり皮膜のように厚くなると、髪の感触が逆に悪くなり、さまざまな良くない影響もでると言われています。

これらの配合量も、成分表示だけでは分かりません。シャンプーの品質は洗浄成分とコンディショニング成分の2つでだいたい決まりますので、これらの配合比率や量が正確に分からないことには、その製品の品質を決定できかねます。

原料の品質も分からない

さらに言えば表示成分の品質、つまり、その原料の品質の問題もあります。

表示成分自体は、同じ名称なら基本的な原料は同じです。ですが、その使われている原料の「品質」は、その原料を製造している制作会社によって微妙に違うことがあるのです。また、同じ会社で作られた原料であっても、品質にグレードがあったりします。

例えばA社とB社で同じ表示名の界面活性剤を作っていたとしましょう。

その両社が同じ製造工程で作り、同じ品質で、同じ値段なのかといえば、そんなことはありませんよね?会社が違えば、違いがあるもの。それが品質の違いだったり、値段の違いだったりします。

作っている会社が違えば、品質にも差があるのは当然。中には原料にランクやグレードなどがあったりし、同じ会社であっても品質と値段に差があるモノも、あるとかないとか。

これら原料は、メーカーに問い合わせれば答えてくれる場合が多いようですが、聞いたところで、それが何か分かりませんし、その原料の品質の基準も分からないから、判断もむずしいと考えています。

まとめ

成分表示の目的の1つは、その成分を見ることで購入する際、その商品を選ぶ目安のひとつとするよう義務化されたものです。

なので、商品選択の目安として成分に着目することは、けっして悪いことではありません。

ですが、主に問題としてあげられるシャンプーの洗浄力でいえば、表示成分だけで正確な判断をするのは難しい。どんなにマイルドな洗浄力の界面活性剤でも、その量によって変わるからです。

シャンプーは高いからいいシャンプーという訳ではありません。あなたの今の体質・髪質・状態に合ったシャンプーがベストなシャンプーなのです。

成分表示からの解析は、参考として使うのには非常に便利です。ですが、成分表示の解析からは、そのシャンプーの品質を正確に解析できる訳ではない、ということは頭の隅に入れておいてください


  1. その成分の効果が発揮しない程度の少量しか配合されていない成分。エキスの抽出や、成分の安定目的などで使われます。 ↩︎