コンビニエンスストアより多いと言われる美容室。競争は激しく、まさにレッドオーシャンという様相です。

かたや理容店ですが、景気動向指数が6年ぶりに美容を上回り、上向きの傾向が見られます(それでも数値で言えばマイナスなのですが)。

参考記事:
理容業が6年ぶりに美容業を上回る - 理美容ニュース

これは単に理容の景気が良くなったわけではなく、景気が底までいったので折り返し地点に入ったためだと思っています。

現在の理容店を営業されている方は、その多くはご高齢。年齢などさまざな理由で店を畳む人も多いでしょう。

ですが、そのお店に通ってたお客様は、美容室や1000円カットのようなお店にはおそらく行きません。格安理容店に行くなら、もうとっくに行っています。

つまり市場的には大きな変化はないが、店舗数が減ったので、全体の景気動向で言えば上がる。つまり、分子は変わらないが、分母が下がったからではないかと考えています。

その理容店ですが、昔の時代、昭和初期から高度経済成長の時代。いわゆるバブル景気ぐらいまでは、もうかる仕事だったようです。

当時の散髪屋といえば朝から晩まで働き詰めで、土日となれば混雑必至、年末に至っては除夜の鐘がなっても仕事が終わらない…、という話です。今では考えられないような繁盛ぶりです。

昨今では「衰退産業」などと言われるほど縮小した理容業ですが、どうしてこうなったのでしょうか?

カリスマ美容師ブームでしょうか? 1000円カットでしょうか? それとも、コンビニエンスストアや信号より多いと言われる理美容店の店舗数でしょうか?

ひょっとしたら、その原因は、他にあるかもしれません。

今回は、そんな話をしたいと思います。

家族や地域のコミュニティの弱体

話は変わりまずが、少し前にこのような本を読みました。

ちなみに、上下合本のKindle版もあります。

この本は非常に面白くて、一気に読んだのですが、その中で現代およびこれからの人類史の話も出てきます。

そこで非常に気になったのが「家族や地域のコミュニティの弱体」です。

コミュニティとは、人間同士が共同の意識を持って、共同で生活を営む一定の地域や集団のこと。人は一人ではライオンや像には勝てないが、目的を同じとする共同体、つまり互いが協力することでそれらに勝つことができ、その結果、地球で最も繁栄した生物になったのです。

このコミュニティの最も小さいものは「家族」と言えるでしょう。次が隣や近所といった近隣の地域。つまり村や町といった「地域」のコミュニティです。

これが近年では弱体化しているのです。正確に言えばコミュニティの規模が市町村より大きな地域になってきている。インターネットなど、さまざまな方法で広範囲の情報を知り得られ、車や飛行機などの文明の利器で行動範囲も広げられます。

簡単に例えたら、今までは町の商店街で行っていた買い物が、スマホで隣町のスーパーの特売品の情報を知り、車でさっと買いに行ける、このようになったという変化です。

この変化によって打撃を受けたのが、先程の商店街といった地域といったコミュニティです。人間が作る社会は、規模的には大きくなっていますが、小さななコミュニティは弱くなっています。

つまり、その地域だけで回転していた物流や資金が崩れ、地域社会の影響力が弱まっているのです。

また、多用的な考えは家族の中にある独自のルールを論破することもでき、「個人の自由」という価値観は、家族というコミュニティから脱する理由にもなります。

そして、それらは国が法律などで保証し、守り、家族や地域の協力がなくても生活できるよう資本や科学技術、企業や国家のサービスが、それらに協力し、支えてくれます。

理容店と地域

この家族やら地域のコミュニティの弱体化によって変わってきたものが「仕事」や「結婚」です。

というのも、昔ならば親戚のおばちゃんや、近所の仲人さん、地域のお偉いさんの紹介といった、いわば「お見合い」などを通じて、その地域で相手を見つけて結婚し、所帯を持つことが普通にあったのです。

そんな時代は、特におしゃれにしなくても、カット代を節約しなくても良かったのです。そんなことをしなくても家族や地域が仕事や家庭を保証してくれ、その対価として、その家族や地域の中で働きます。

そして理容店は、特に宣伝や割引クーポンなどしなくても、その地域の社会に入っていれば、その循環の一部として機能しますので、自然とお客さんは来てくれたのです

昔の理美容は今とは違い「男性は理容」「女性は美容」と別れていました。これも要は、その地域でそれぞれ「男性の髪」「女性の髪」と役割を分けていたからかもしれません。

ところが、時代が変わると、自由に仕事や結婚相手を見つけることが、できるようになります。好きな仕事、好きな相手を選べるのです。

これにより、よく分からない紹介された誰かとではなく、自分の好きな相手と結婚できる可能性が出てきたですが、その代わりに「その相手からも好意を持ってもらわないと結婚できない」という条件があります。

端的に言えば、結婚相手を誰かの紹介ではなく、自分の力で獲得しなければならなくなったのです。

そのためには、さまざまな魅力を身に付ける努力をしなくてはいけません。身だしなみを良くしなくてはいけません。デートや趣味といったことにもお金が必要になります。豊富な資本(お金)も魅力の一つです。要は、とにかく資本が肝心になったのです。

そうなると、同じお金を使うなら、女性のことを良く知り女性にモテる身だしなみをよく知っている美容室のほうが、とうぜん良いわけです。または節約できる低料金のカットが良いわけです。

家族や地域の人の中には、昔から自分が行っている散髪屋に行くよう言う方もおられかもしれませんが、上記のとおり家族や地域のコミュニティの力は弱くなっていますもで、それほどの強制力は働かなくなっています。

まとめ

結局は「時代の変化についていけなかった」と言えばそうなのですが、地域に密着していたからメインの客層はそれほど減ったりしないので、これがなかなか気づきにくい。

それに理容は技術職です。普通の商店ならもう潰れていてもおかしくない状態であっても生活できるのが理美容店というもの。

リンク:昔からある小さな理美容店が、潰れずに残り続けている理由

つまり、「今は利益が下がっているけど耐えられないことはない、そのうち昔のように良くなる」と頑張ってきた結果、今の状態になったのだと考えています

実はこの話、理容に限った話だと安心してはいけません。時代の変化は常にあります

例えば最近流行のグレイヘア。この根本にあるのは「美しさ=若さ(アンチエイジング)」から「美しさ=自分らしさ」という選択肢の変化だと考えています。

そしてこれも、世界各国のさまざまな情報を得られる、グローバルな社会ならではの変化だと思っています。

これからも、どんどん変化していくでしょう。その時どうなっているか、期待感もあり、また怖くもあります。