理美容店や理美容師は厚生労働省の管轄で、その厚生労働省から10月末頃に衛生行政報告という報告がありまして。

そこには理美容店の店舗数や、理美容師の人数といったことが報告されます。

今年もその発表があり、それによりますと店舗数・人数とともに昨年より増え、過去最高になったとのことです。

この数は実は毎年のように増えていて、データを取り始めた昭和45年(1971年)からずっと増え続けています。

その数は平成30年3月末で、美容店数が24万7578店。全国のコンビニエンスストアの数が5万6692店ですので、それと比べて約4.37倍。理容店も合わせたら全店36万8543店となり、コンビニエンスストアの約6.5倍も店が多いのです。

また、これもよく言われるのですが、日本全国の信号機の数が20万8061基(平成28年度末)なので、美容店は信号機より多いことになります。

このように非常に多い理美容店なのですが、実は不思議なことが起こっています。

今回はそんな、理美容業に関するお話です。

不思議な2つのこと

その不思議なこととは何かと言えば、次の2つです。

  • 店舗数は増えているのに、市場は縮小傾向
  • 美容師の人数は増えているのに、美容師不足

どちらも、まったく逆のことが起きてます。

店舗数は増えているのに、市場は縮小傾向

先程も書きましたが、全国の理美容店舗数は増えています。

しかも、ここ何年かは理容店のほうは減少しています。なのに店舗数が増えているのは、理容店の減少を上回る美容店の出店があるためです。

これだけの店舗数が増えていると、さぞ市場も繁盛し拡大しているのかと思いきや、実はここ数年緩やかに縮小しています1

それなのに店舗数が減るどころか増えている…。なぜなのか?

それは美容師業界では空前の独立ラッシュ となっているからです。

その大きな理由は2つ、一つは2000年前後にあったカリスマ美容師ブームです。

このブームがあった時代、多くの人が美容師に憧れ、その職種を選んだのですが、その人たちがちょうど自分の店を持てる技術と年齢になってきたのが近年の状況です。美容師にとって自分の店を持つのは一つの夢。そのため独立開業に踏み切る美容師が多いのです。

そしてもう一つは、美容師業界の昔からある構造の問題です。

有名な話ですが、美容師という仕事は雇われている場合は非常に厳しく、低賃金・長時間労働で、休日は少なく、休みがあっても講習や練習などでないようなものという、いわばブラックな環境の店が多いのです。2

なので従業員として働くよりは、厳しくても将来性がある独立開業という道を選ぶ…、そのような背景があるのです。

ちなみに、独立しても経営に行き詰まり閉店するお店も多くあります。一説によると開業した美容店が3年後生存している割合は10%だとも言われています。

それでも店舗数が増えているということは、閉店数を上回るほど、多くの出店数があるということでもあります。

美容師の人数は増えているのに、美容師不足

出店数と同じように増えているの美容師の数ですが、実は新しく美容師になる人、つまり美容師免許の合格者数は年々徐々に減っています

これは少子化もありますが、先程の美容師業界の構造や体質のことも関係しているという話です。

なのに美容師の数は増えています。これは調査が美容師免許の登録者数で算出しているというのが大きいでしょう。

つまり、美容師免許を持っていても今は美容師を辞めているという人も中にはいるということです。

これが今の美容師不足にもつながります。つまり免許を持っていても、美容師という仕事をしていない人が多いのかもしれません。

このことに明確なデータはありませんが、それに関係しているかもしれない話で、新しく就職した新人美容師が店(サロン)を辞める離職率は高いとも言われています。3

また東京や千葉・神奈川といた都心部では、人口あたりの店舗数(=美容師数)も不足しているそうです。つまり人口が多いわりには美容店や美容師の数が少ないと予想されます。

そうなると都心部の美容店の忙しさはかなりのものです。そこに先程の美容師業界の構造的な話も関わってきますと、労働環境は厳しいことが予測されます。中には辞めてしまったり、郊店を変えたり、独立したりする人もいるでしょう。

つまり美容師の免許取得者の数は多くても、大都市などの多くの店舗では不足している、つまり美容師が不足しているとなるのではないのでしょうか。

これらが「美容師の人数は増えているのに、美容師不足」という不思議な現象を、起こしている要因ではないでしょうか。

まとめ

このように美容師業界はデータだけで見ると、非常にタイヘンです。

実際は所詮しょせんこれらはデータ、数字の話で、現実の現場では違うかもしれません。最近では古い体質・良くない構造を変えようとする話も聞いています

それでも、市場規模はこれからも減少することが予想されています。つまりこれから先、美容師業界の競争や経営は厳しくなっていくことは間違いはないようです

ところで、今までの主な話は美容師ですが、理容師業界の方はといえば、理容師の店舗・人口・市場規模とともに、どんどん縮小しています。

新しく理容師になる人も年々少なくなっていて、「衰退産業」などと揶揄やゆされることもあります。

理容師という職業がなくなるというのは、美容師と同じようにそうないとは思いますが、理容師業界は美容師業界より状況は危ういと思われます。

※引用・参考URL
美容所24万7578店 今年も過去最多を更新 | 理美容ニュース
新人美容師の50%が3年間で離職? | 理美容ニュース
最新データから読み解く!美容室・ヘアサロンの現状と傾向 | モアリジョブ
カリスマブームに乗った美容師のせつなすぎる現実。「独立しても1年で廃業…」 | 女子SPA!
公益財団法人理容師美容師試験研修センター | 試験 | 過去の試験実施状況

  1. 市場の縮小は、人口の少子化や、消費者の来店回数の減少、それと1000円カットなどの低下価格サロンによる客単価の減少などが原因ではないかと言われています。 ↩︎

  2. これは「技術や接客を習っている修行中の身」というが主な理由です。 ↩︎

  3. 離職率は3年以内で約半数や72%や80%などと言われていますが、根拠は不明なようです。(参考リンク:新人美容師の50%が3年間で離職? | 理美容ニュース)↩︎