髪を洗わなかったとき、髪がベタつくことがありませんか?

そのベタつきの原因が皮脂です。

皮脂は化粧崩れの原因だったり、髪のベタつきの原因になったりと、何かと嫌われがちですが、私たち人間が本来持っている天然のクリームとしても有名です。

この皮脂は髪にはどういった役割があるのでしょうか?

今回はそんな髪と皮脂についてのお話です。

天然のクリーム『皮脂』

天然のクリーム「皮脂」ですが、その効果は肌、つまり皮膚に対する効果が有名です。保湿といった効果が有名です。

髪の専門サイトである当サイトでは、肌のことは専門外ですが、肌に対する皮脂の役割を簡単に書けば、次のように言われています。

  • 水分の蒸発を抑制
  • 柔軟性・弾力性・滑らかさを与える
  • 防寒防暑・防菌殺菌といった防御効果
  • 有害物質などの排出

このような効果がある皮脂ですが、皮脂は髪が生える毛穴に必ずある「皮脂腺」から分泌されす。今のところ、皮脂腺が付いていない毛穴は存在しません。

このように同じ部分、同じ器官にある、ということは何らかの関連性があると言えます。つまり、髪と皮脂には密接な関係があるのです。

髪と皮脂の関係

毛穴にある皮脂腺から分泌された皮脂ですが、分泌されたあと毛穴や皮膚にいる常在菌によって分解されます。

これらはさらに、角質細胞や表皮脂質(表皮細胞由来の脂質)、それと汗と混ざることで皮脂膜というクリームになります。

このようにクリーム状になった皮脂は、18-MEA(18-メチルエイコン酸)によって髪の毛へと、どんどん運ばれていきます。

髪に送られていった皮脂は、ある程度いきわたると地球の重力の力も加わり、素早く毛先まで行きわたります。

このようにして、皮脂は髪の毛全体も膜のように被います。

髪をおおう皮脂の役割

このように髪の毛をおおった皮脂には、どのような役割や機能があるでしょうか?

まだ分からないことが多いのですが、髪の毛の皮脂が持つ効果としては、これらのものがあると考えられます。

髪の乾燥をおさえる

髪は1割程度の水分を保持しています。これにより髪の毛は柔軟性や弾力を持てています。肌と同じですね。

そして髪をおおう皮脂には必要以上水分が蒸発しないように保護し、髪の毛の柔軟性と弾力を守る役割があると言われています。こちらも肌の皮脂と同じ役割です。

水分の吸収をおさえる

また髪は、水分を吸収量が多すぎると強度が弱くなります。つまり、髪は水に弱いのです。

皮脂は脂質(油)ですので、とうぜん水を弾きます。髪は皮脂におおわれることで、余分な水分の侵入を防ぐ効果があると言われています。

滑らかさを与える

髪は弾力としなやかさを持っていますので、髪の毛同士あたったり、こすれたりします。

それを皮脂がコーティングすることで、からまりにくくなり、髪の毛がもつれることを防ぎます。つまり、髪の毛に滑らかさを与えます。

また、クシやブラシなどの摩擦といった物理的なダメージを軽減する効果があります。

熱さ寒さからの保護

体のほぼ全身をおおう皮脂は、熱を伝える力が弱いため、暑さや寒さから体を守る効果があります。

髪の皮脂にもこのような効果が期待され、髪の毛と、その髪の毛でおおわれた頭皮などを、熱や寒さから守てくれます。

弱酸性にする

肌や髪を構成している組織であるケラチンは、まわりが弱酸性の状態で1番構造が安定します。つまり1番頑丈な状態です。

皮脂は、人の体にもともと存在している微生物「常在菌」の働きで弱酸性になります。それにより髪の毛は最も安定した弱酸性の状態でいることができます。

有害物質や感染からの防御

皮脂で増殖する常在菌は、外部からの有害物質や感染といった細菌を防ぐ効果もあります。また弱酸性になることでアルカリ性で増殖する菌(黄色ブドウ球菌やマラセチア真菌など)を抑制する効果もあります。

これらは髪の毛自体には影響は少ないでしょうが、髪の毛が生える頭皮に対しては、感染や炎症・かゆみといったトラブルを防ぐ効果を期待できます。

有害物質などの排出

皮脂の重要な役割として、皮脂といっしょに有害物質や重金属など、体にとって不必要なもの、有害なものを、体外に排出するという機能があります。

これらは髪の毛の脱毛や、皮膚や頭皮の角質が新陳代謝ではがれてできる垢(あか)やフケなどと一緒に体から離れ、体外に捨てられます。

紫外線からの保護

皮脂は紫外線によって酸化します。ということは、皮脂は紫外線を吸収しているということです。

つまり、髪の毛や皮膚が受けるはずだった紫外線のダメージを、皮脂が代わりに引き受けているのです。

皮脂といった脂質が多い髪の毛は、脂質が少ない髪の毛より、紫外線からのダメージが少ないという報告があります。

同じ脂質でできている皮脂にも、そのような効果があると考えられます。

皮膚の皮脂と髪の皮脂は同じものなのか?

ここで1つ疑問がでてきます。皮膚をおおう皮脂と、髪をおおう皮脂は同じかどうかということです。

結論から言えば同じだと言っていいでしょう。

なぜなら、頭皮には毛穴以外に皮脂を分泌する器官が無く、それは大部分の皮膚と同じだからです。

ただ、皮膚表面の成分と、毛穴から直接髪の毛に伝った皮脂とでは、皮膚表面の成分(角質細胞や表皮脂質)の量などが少しだけ違う可能性はあります。

ですが、それらはもともと割合としては10%以下の少ない成分です。違うといっても、ほんのわずかな差しかないと考えられます。皮脂が持つ役割や機能に、大きな差がでるとは考えにくいです。

まとめ

これらから見ると、皮脂は髪にとっては大事なもので、髪の皮脂は髪を保護する天然のコンディショナーのような役割を持っています。

髪は本来、何もせず自然のままでも、体にとって良い状態を保つ機能を持っています。実際、私たちの体はよく出来ていて、特にシャンプーなどしなくても大丈夫なようには出来ています。

ですが、現実的にシャンプーや洗髪をしないで過ごせるかといえば、そういうわけにはいきません。特に衛生環境に厳しい現代社会では、洗わずそのままという生活習慣を続けることは、難しいと思われます。

それに、洗わないこと(自然のまま放置しておくこと)が全てにおいて良いのかと言えば、そうではなく、雑菌の繁殖や、紫外線などによる皮脂の酸化、それらによるニオイや皮膚炎・かゆみといったものが、洗わないことによって出てくる可能性もあります。

その点を考えても、普通ならある程度洗髪をするのが望ましいのです。ですが洗いすぎればその反動で皮脂が過剰分泌されます。そちらはそちらで頭皮や髪のトラブルへとつながる場合があります。

要は皮脂は、適切にコントロールすることが髪や頭皮にとっては重要なのです。それらは性別・年齢・習慣や環境など、その人それぞれで変わってきますが、健康的で美しい髪を維持するためには、ぜひとも意識したい部分です。