髪の毛は私たちが起きても寝ていても成長し、24時間いつでもどこでも伸びています。
その成長速度は、1日に0.3〜0.4ミリほど伸び、1ヵ月で約1〜1.2センチ、1年では約12〜15センチほど伸びます。
これはすごい速さで、この速さは毛根の奥で、髪の毛が活発に作られているという証拠です。この活発さは人体の細胞の中でも、とても活発に活動しているものの一つです。
では、この活発に働いている毛根では、髪はどのように作られ、成長しているのでしょうか?
今回はその、髪の毛の成長についての話です。一つの細胞が髪の毛になるまでの過程を、順を追って解説していきます。
毛乳頭周辺
髪の毛になる元の細胞は、毛母細胞から作られています。
毛母細胞は毛乳頭から栄養をもらいながら活発に分裂・増殖し、そうしてできた細胞が、髪の毛の元となる細胞です。
この分裂によって細胞はどんどん増えていきます。その増えた分だけ、毛髪はどんどん下から押し上げられていきます。
この毛乳頭周辺で細胞分裂を活発におこなっている部分を「増殖帯」などと呼ぶこともあります。
ちなみに、このとき増殖した細胞は、すでに毛髪内で何になるか決まっています。そして、分裂と増殖を繰り返しながら、そのキューティクルやコルテックス、内毛根鞘などになっていきます。
毛球部分
毛母細胞で分裂・増殖して生まれた細胞は、毛球内でさらに分裂と増殖を繰り返しながら出口、つまり、皮膚の表面にある毛穴の方へと押し上げられていきます。
このとき細胞は、移動するつれて形が縦に長くなり始めます。ちなみに、このように髪の毛や皮膚や爪などに変化していく細胞を「角化細胞」または「ケラチノサイト」と言います。
また、この段階では早くも内毛根鞘が形成されてきます。これらは、まだ完成してい髪の毛の周りを囲んみ、支える役割をします。
この部分ではまだ細胞分裂が活発に行われているため、このあたりを「分化帯」や「細胞分裂帯」などと呼びます(先ほどの毛乳頭周辺部分も含めることもあります)。このような活発な活動は、移動していくにつれて徐々に収まってきます。
ちなみにこの部分では、髪の毛になる細胞内に細胞核やミトコンドリアなど、通常の細胞に普通に見られる構造物がまだあります。これらは角化するにつれて破壊され、毛髪になった状態では「それらがあった」という形跡が細胞内で確認できる程度、という状態になります。
毛球より上の部分
毛球から出るあたりから「角化帯」と呼ばれる部分に入ります。この部分に入ると細胞はすぐに硬い性質を持つ細胞に変化し始めます(これを角化と言います)。つまり、本格的に毛髪細胞へと変わっていくのです。
特にコルテックスになる細胞は角化帯に入るとすぐに変化が始まります。細胞内には繊維状の構造を持つ組織「ケラチン」が現れはじめます。
これらは細胞が移動するにつれて、縦に長くなった細胞が平行に並びながら、どんどん集まり、積み重なっていきます。これらは最終的には「中間係フィラメント」という繊維の束のような成分になります。
やがて細胞内では硫黄の成分が多いタンパク質が作れれはじめます。髪の毛が燃えると鼻をつく臭いがしますが、それはこの硫黄成分のが多いためです。
この成分は後に、タンパク質同士を強固に結びつける「シスチン結合」の元となります。
そして最終的には、これらタンパク質の生成は完全に止まります。しかし、細胞の変化はさらに進み、細胞内部のタンパク質は圧縮され、水分が抜かれ、シスチン結合によって強固につながります。
そして、細胞核やミトコンドリアなとの細部内構造物は破壊され、細胞分裂などの細胞活動ができなくなる、いわゆる「死んだ細胞」へと変化します。
こうして、私たちがよく知る「髪の毛」へとなるです。
まとめ
このように髪の毛は作られています。
頭皮の厚さはだいたい2~3mmですので、この薄い皮膚の中で、これだけドラマチックな変化が起こっているのです。
ほんとうに人間の体は不思議で、よく出来ていると、つくづく思います。