毛包は毛根を包むようにしてある組織なのですが、例外となる部分が1つあります。

それは皮膚から見て毛包の最も深い部分、毛根の最深部とも言える場所です。

その部分は、植物の球根のようにふくらんでいます。そしてその周りを毛包が包み、その最下部の部分では皮膚組織の一部が毛包内に入り込んでいます。

この部分を「毛球」と言います。

他と形状が違うこの部分は何かと言えば、実は髪の製造工場です。つまり、髪はここで作られています。

どのような仕組みや構造になっているのか、毛球の中身を少しのぞいてみます。

毛球の役割と構造

この丸く球状にふくらんだ毛球の中には、まだ髪の毛になっていない細胞がぎっしり詰まっています。

しかも、細胞がものすごいスピードで増殖・分裂を繰り返し、少しずつ髪の毛へと変化していってます。

その毛球の下部の中心あたりには、髪の毛の元となる母とも呼べる細胞「毛母細胞(もうぼさいぼう)」と、髪に色を着ける「メラニン細胞」、そしてその毛母細胞などに栄養や司令を出して制御している「毛乳頭(もうにゅうとう)」が存在しています。

髪の製造工場兼司令塔『毛乳頭』

毛球の中にあり、真皮から握るタイプのドアノブのような形をして毛球内に入り込んでいる組織です。

そのドアノブ自体の形状は、卵や洋ナシ、ボーリングのピンといったような形をしています。

毛乳頭の内部にはら毛細血管や神経が入り込んでおり、血管から髪を作る栄養や水分・酸素などを受け取る機能があります。

そして、毛乳頭の周りには、次に紹介する毛母細胞が隣接し、その毛母細胞に栄養素を渡す役割を持っています。

また、髪の生産や休止といった制御の役割も毛乳頭は持っています。まるで製造工場の工場長のような役割をしているのです。

髪のを生み出す母なる細胞『毛母細胞』

毛乳頭をすっぽり覆うようにある細胞で、後に髪となるこの細胞です。

全ての髪はこの細胞から出来ていて、この毛母細胞が分裂・増殖を繰り返すことで作られていきます。

この細胞は前記のように毛乳頭を囲むように多数存在していて、これら細胞をまとめて「毛母基」や「毛母体」、ただ単純に「毛母」などと呼んだりします。

ここから分裂した細胞は最終的には毛髪のさまざまな組織(キューティクルやコルテックスなど)になります。また、毛髪以外にも内毛根さやといった組織にもなります。これらは元となる細胞が生まれたときには、何の組織になるか決まっているそうです。

この部分は、人体の中でも細胞の活動がもっとも活発に働いている部類に入ります。これにより髪はどんどん作られ、毛母細胞から押し上げられる形で、どんどん伸びていきます。

なお、毛母細胞と毛乳頭の間には硝子膜(基底膜)があり、栄養や情報などのやり取りをスムーズにおこなっています。

髪色はこれで決まる『メラニン細胞』

毛乳頭周辺には色素を作る細胞も存在していて、この細胞をメラニン細胞と言います。メラノサイトや色素細胞などと呼ばれることもあります。

ちなみにメラノサイトの「メラノ」は英語では「melano」という単語で、「黒の」という意味があります。

この細胞では、髪の色を決めメラニン顆粒(メラニンかりゅう)、または、単にメラニン(melanin)と呼ばれる色素を生成し、毛母細胞から生まれる髪となる細胞に色素を渡します。

この細胞は加齢などによって機能が低下したり数が減ったりする場合があり、それにより髪が白髪になったりすると言われています。

まとめ

毛母細胞で生まれた髪となる細胞は、この毛球内を毛穴側、皮膚の外の方へと移動していくうちに、髪へと変化していきます。

つまり、この毛球は髪の毛を作る組織で、全ての毛髪はこの場所で作られ育ち、伸びていきます。

このように、髪の生産工場であり、とても重要な部分が毛球なのです。