お風呂やシャワーの温度は何度がいいか、そんなことを考えたこと、ありませんか?
ネットで調べればいろいろありますよね。シャワーの温度は、その目的によっても違います。リラックスならぬるめ、目を覚ましたいなら熱めという風にです。
では、髪の毛にとっては、どうでしょう?
シャワーをするとき、髪にとっての「ベストな温度」というものが、はたしてあるのでしょうか?
今回はそんな疑問が解決するかもしれないお話です。
ぬれた髪と温度
髪はほとんどタンパク質でできているので、皮膚がヤケドをするように、髪も高い温度ではダメージを受けます。
それでも、乾いている状態では熱にそこそこ強いです。100℃のヘアアイロンでセットしても、ダメージがない分けではないのですが、気にならない程度1です。
ただしこれは乾いている状態で、しかもダメージが少ない健康毛での話です。ぬれた状態では話が変わってきます。
これは諸説あるのですが、ぬれた髪はだいたい50~60℃ぐらいまでなら受けるダメージが極めて少ないと言われています。
通常、お風呂やシャワーで50℃の温度だと、かなり熱いですよね。なので頭を洗うのに50℃以上は現実的にはあり得ません。
つまり、通常のお風呂やシャワーの温度では気にしなくてもいい、ということです。
髪がアルカリの場合は警戒を
ただし、髪の毛の pH がアルカリに傾いているときは、少し注意したほうがよいかと思います。
髪はケラチンタンパク質の性質上、アルカリ性に傾いた状態では髪の結合がゆるみ、弱い状態になっています。
それどころか、通常では高温でないとおきない加水分解といった化学変化が、低い温度でも起こりやすくなるからです。
とはいえ、髪のケラチンタンパク質がアルカリで加水分解を起こす温度は50℃以上だと言われています。
なので理論上なら気にしなくても良いのですが、問題は、パーマの還元剤など、pH 9 以上という強めのアルカリが残留していたりすると、少し警戒したほうが良いかと思います。
加水分解とまではいかなくても、何らかの細微な変化が髪に生じても、おかしくはないからです。
あるデータによると、pHが 9 以上のパーマ液で、最初の薬液(1液)液塗布の際に40℃ぐらいの加温処理をしただけで、髪の弾力が一部回復しなくなったという話があります2。
近頃はパーマ液の質も良くなり、アルカリ性が強いパーマ液というのは減っていますし、そこまで気にしなくてもいいかもしれません。
それに、たとえ髪にアルカリが残留していても、これほど強いアルカリ性を保ちながら長期間髪の毛に残留することは、理美容室の施術ではほぼないと思うのです。
それでも市販のホームカラーや海水浴などで、そこそこ高いアルカリ性に傾くことはあります。
さきほど例でしめした「あるデータ」は、理美容店などで使う薬剤でのデータなので、通常の生活でそんな状況になることはありえませんが、それでも、40℃前後以下ならダメージなどが比較的起こりにくいと書かれています。
これは逆に言えば、高いアルカリ性に傾いているときは、40℃前後を上回ると、小さいながらもダメージを受ける可能性が否定できないと言えます。
なので、念には念をいれて「髪がアルカリに傾いてるかな?」という時はシャワーの温度をぬるめの38℃前後以下にしたほうが、髪の毛には良いかもしれません。
頭皮に最適な温度
次に頭皮についても考えます。髪を作ってくれる頭皮は、髪にとっても大事な部分で、外しては考えられません。
頭皮は肌とよく似ているので、お肌と同じような温度で良いかと思いますが
それでも、お風呂の温度などはよく「〇〇℃が良い」と諸説ありますので、悩みます。
ただお肌も頭皮も、高い温度はあまり良くないようで、お風呂もシャワーも、高い温度だと皮膚の乾燥を招いてしまう可能性があるそうです。
これら以外にもいろいろ参考にしたのですが、どうやら38℃~40℃ぐらいの温度が適切だと言えます。
いったい何度が最適か
現代では湯シャンなどシャンプー剤を使わない人はいますが、それでも髪を毎日のように洗う人がほとんどです。
この「毎日のように洗う」というのもポイントです。シャンプーが月数回程度なら、少々気にならない程度のダメージが髪にあっても、ダメージとまではいかないはずです。
ですが毎日、例えば1年間カットせずに伸ばしたら毛先には365回も洗うことになります。
この間ずっと軽度のダメージを受け続けますと、1回程度では気にならないような微量のダメージであっても、365回目頃には大きなダメージとして表れていてもおかしくはない。
これらを考慮して、「毎日洗う」と仮定し、上記の話を参考にして導き出される最適な温度は、次のようになります。
基本的には38~40℃
基本的には38~40℃ぐらいで良いと思います。
ネットでもよく言われている範囲ですので、ご存じの方も多いかと思います。
これぐらいの温度なら、髪に対する負担も、頭皮に対する負担も少ないと思われます。
徹底するなら38℃
ただし、徹底するなら40℃では不安が残ります。
髪に強めの残留アルカリや還元剤といった成分が残るという可能性もゼロではなく、海などでアルカリ性に傾いた場合も、なんらかの影響が決して出ないとは言いにくい。
となると、少し下の39~38℃前後となりますが、39℃ぐらいでは給湯器等の具合によって温度が安定してないときは、40℃近くまで高くなる可能性も拭いきれない。
と、なると、38℃程度なら適温となるのです。
38℃以下でも構わないけど、体調には注意
さらに、この理屈で言えば、水温がより低いほうが良いとなります。
ただし、温度が低くなると皮脂が落ちにくくなり、シャンプーの泡立ちも洗浄力も悪くなります。なので、あまりに低い温度はオススメはしにくいです。
たしかに皮脂などはシャワーの水圧でも流せたりしますので、37℃~36℃でも、時間をかければ汚れはある程度は落とせるとは思います。
その場合、長時間洗うことによって摩擦といった力が、ぬれて弱い状態になっている髪の毛への負担になりかねませんので、ご注意ください。
まとめ
このように書きましたが、実際のところ「これが絶対。何が何でもこの温度でないといけない」という訳ではありません。
38℃はぬるめの温度です。なので、冬場とか体調によっては寒い場合もあります。
また人の髪に個人差があるように、人の体温(基礎体温)も千差万別。
なので、決して「この温度が正解!」とは言えないのです。
なので、基本は38℃から40℃の間ぐらいの温度で、体質や体調、髪の状態にあった水温で適切に洗うのが、ある意味理想的ではないでしょうか?
髪は、毎日の何気ないことでダメージが蓄積されていくのですが、逆にちょっとしたことだけで解消することもあります。
今回の話が何かのお役に立てれば、とても幸いです。