今回は以前の話の続きで、シャンプーの界面活性剤の種類の話です。

おさらいしますと、シャンプーに使われる界面活性剤は、以前は「高級アルコール系」「石鹸系」「アミノ酸系」の3つでした。

これらは、この3つに分けれるほど、成分の特徴が似通っていたので、それで良かったのですが、近年はさまざまな界面活性剤が開発され、特に洗浄力などではこの3つに分けるには無理がでてきています

簡単に言えば、高級アルコール系でも低洗浄力・低刺激なものも出てきたのです。

なので最近では、違う部分で〇〇系と分類するようになっています。

それを知るためには、ます界面活性剤のことについて、ちょっとだけ詳しく知る必要があります。

界面活性剤の成分名の見方

界面活性剤の成分名には、ある程度の法則があります。

例えば、代表的で分かりやすい界面活性剤である「ラウリル硫酸Na」で見ますと、次の3つに分かれます。

  • ラウリル
  • 硫酸
  • Na

ラウリルとは「ラウリルアルコール」のことで、界面活性剤の疎水基(親油基)になる部分です。そこに硫酸を反応させることで、「ラウリル硫酸エステル」という強酸の化合物となります。

さらにそれに水酸化ナトリウム(NaOH)と反応させてできるものが「ラウリル硫酸Na(ナトリウム)」です。

この化合物が水に溶けると、Na の部分が分かれ(電離)、硫酸部分がイオンとなること(イオン化)で水となじむことができ、ラウリルの部分が油となじみ、水と油が混ざります。

つまり界面活性剤は表示名から

油となじむ部分(疎水基)+水になじむ部分(親水基)+中和に使ったアルカリ剤の部分

という風に読み取るとれます。

ちなみに、この中和に使ったアルカリ剤の部分ですが、ナトリウム(Na)以外にもトリエタノールアミン(TEA)やカリウム(K)、アンモニウムなどがあります。

また石けんは、このような成分名でいうと「脂肪酸ナトリウム(または脂肪酸カリウム)」とも言います。これは石けんが、天然油脂(脂肪酸)とアルカリ剤と反応させて作られたものだからです。

この脂肪酸は、元の脂肪酸とは別のモノになっていて、疎水基と親水基のどちらも持つ界面活性剤として機能します。

主な界面活性剤の種類と特徴

上記を踏まえた上で解説しますと、界面活性剤は水中では親水基が水側を向きます。そして髪や頭皮・肌に触れるのは水を介して触れる親水基のほう。

つまり、髪や皮膚への影響で関係が深いところは親水基。なので、親水基の種類によって分類分けするように、今はなっています。

この親水基による〇〇系には、次のようなものがあります。

硫酸系

界面活性剤の一例
ラウレス硫酸Na
PEG-3ヤシ脂肪酸アミドMEA硫酸Na

親水基が硫酸エステル(R-OSO3)の界面活性剤で、代表的な成分はやはり「ラウリル硫酸Na」や「ラウレス硫酸Na」です。

ラウリル硫酸Naは刺激性などからあまり使われなくなりましたが、刺激性を低くしたラウレス硫酸Naは多くのシャンプーで使われています。たぶん一番シャンプーに使われています。

基本洗浄力がよく、泡立ちも良好な界面活性剤で、上記ラウリル硫酸Naの影響から刺激がるイメージが強いのですが、近年では刺激が弱くなったものもでてきています。

カルボン酸系

界面活性剤の一例
ラウレス-4カルボン酸Na
ラウレス‐4酢酸Na

親水基がカルボン酸(R-COO)の界面活性剤で、シャンプーでは「〇〇酢酸」や「〇〇カルボン酸」という風に書かれています。

実は化学的な構造で言えば、石けんと同じ構造。なので石けんもこの系統と言えば、そうとも言えます。

適度な洗浄力がありながら低刺激。石けんはアルカリ性のものが多いのですが、こちらは種類によっては酸性でも洗浄力を持てるものがあったりします。

スルホン酸系

界面活性剤の一例
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸Na
オレフィン(C14-C16)スルホン酸Na

親水基がスルホン酸(R-SO3)の界面活性剤。台所洗剤や衣類用洗剤などで使われることが多いです。

洗浄力が高く、泡立ちも良好。基本的にシャンプーに使われることはほぼありませんが、一部「オレフィン(C14-C16)スルホン酸Na」などはシャンプーに使われたりしています。

スルホコハク酸系

界面活性剤の一例
スルホコハク酸ラウレス2Na
スルホコハク酸(C12-C14)パレス-2Na

スルホコハク酸は、スルホン酸とコハク酸がくっ付いたもので、コハク酸は先程のカルボン酸の一種です。

ですので、正確には「コハク酸系」なのですが、多くがスルホコハク酸系としているので、そのように明記しています。

洗浄力は、簡単に言えばスルホン酸とカルボン酸を足して割ったぐらいで、どちらかと言えば低刺激になっています。

また泡の持続力に優れていて、気泡剤として加えられることがあります。

アミノ酸系

親水基がアミノ酸の界面活性剤。アミノ酸の種類によって

  • グルタミン酸(例:ココイルグルタミン酸TEA)
  • アラニン(例:ラウロイルアラニンNa)
  • サルコシン(例:ラウロイルサルコシンNa)
  • タウリン(例:ココイルメチルタウリンNa)
  • グリシン(例:ココイルグリシンK)
  • アスパラギン酸(例:ラウロイルアスパラギン酸Na)

といったものがあり、また、これからもどんどん増えるでしょう。

正直、種類が非常に多いですが、特徴として、そのほとんどは低洗浄力・低刺激。主にサロンシャンプーやちょっとお高めのシャンプーに使われることが多くあります。

実際はそのアミノ酸ごとに細かい違い(タウリン系は洗浄力がやや高めだが、グルタミン酸系はとても弱いなど)がありますが、だいたいは洗浄力が弱く低刺激で、泡立ちも違いがありますが基本的には泡立ちにくい。

あとアミノ酸系全般に言えることですが、髪の毛への吸着・残留性が高いです。

使ったことがあるなら分かるかもしれませんが、洗い上がりが大なり小なり重たくなる場合があるのが、アミノ酸系シャンプーの特徴の1つです。

タンパク質系

界面活性剤の一例
ココイル加水分解コラーゲンNa
ココイル加水分解ケラチンK

親水基がタンパク質由来成分の界面活性剤です。

最近でてきた成分で、とても低洗浄力でとても低刺激。そしてとっても高価です。

毛髪補修効果があるとされますが、きっとそれは残留成分がくっついているだけで、正確な意味での修復はしていないと考えています。

ベタイン系

界面活性剤の一例
ラウラミドプロピルベタイン

ベタインとは、すごく簡単に言えばカチオン(正電荷)とアニオン(負電荷)のどちらも持っている化合物(ベタイン化合物)のことで、この名前が付いている界面活性剤は両性界面活性剤がほとんどです。

シャンプーでは親水基がカルボン酸構造になるので、刺激は極めて低いと言われています。その構造から、カルボン酸系の中にはベタイン系と呼べるものもの(ココアンホ酢酸Na)もあります。どちらかと言えば親水基がカルボン酸構造なので、ベタイン系がカルボン酸系の仲間なのですが。

ちなみにここでのベタインとは、ベタイン(トリメチルグリシン)とよく似た構造の化合物を指す言葉です。ベタインの名前の由来となったテンサイ(サトウダイコン)から作られたとは限りません。

参考リンク:
ベタイン - Wikipedia

その他

上記以外ではイセチオン酸系(ココイルイセチオン酸Na)や、ベタイン系以外の両性界面活性剤(ラウラミノジプロピオン酸Na)などがあります。

それに、新しい界面活性剤も日々研究開発されていますので、新しいものが増える可能性はあります。

まとめ

この分類で分かるのは、主に「その親水基の成分が、頭皮や肌に合うかどうか」です。洗浄力に関してはその成分だけを同じ量で比べれば強い弱いの違いはありますが、そんな単純な話でシャンプーの品質が分かれば苦労しません。

シャンプーに使われる成分は界面活性剤だけではありません。洗髪中に髪がもつれないようにするため何らかのコンディショニング成分など、他の成分がだいたいは入っています。

これら、特に油分などの成分は、界面活性剤と一緒に存在すると洗浄の邪魔をし、洗浄力が低下します。つまりシャンプーの洗浄力は、これらの成分のが合わさったトータルの洗浄力がシャンプーの洗浄力となります。

これらは書かれている順番から多く入っている順番は分かります。ですが、それ成分がどのうに作用し、洗浄力がどうなるかなどは、正確に判断するのはほぼ不可能です。さらに言えば分かるのは多い順番、おおまかな配合比率だけで、成分としての配合されている量の多さも分からりません。量によっても洗浄力は変わりますからね。

慣れれば成分名の順番から、その成分の配合目的や品質の方向性が分かり、なんとなくどんなシャンプーかは想像できるのだそうですが、正確に品質を言い当てることは、まず無理だという話です。

成分名はあくまで選ぶ参考にはなるけど、合うか合わないかは使ってみないことには分からない、というのがホントのトコロです。

※引用・参考URL
界面活性剤の主な性質と種類 - 日本界面活性剤工業会
シャンプーの洗浄成分まとめ① | かずのすけの化粧品評論と美容化学についてのぼやき