シャンプーしたとき、泡立たなかった経験がありませんか?
これはコテコテの油汚れの食器を台所用洗剤で洗ったときに泡立ちにくいのと一緒で、髪の毛に汚れが多い場合があります。1
逆に少量の洗剤でも、スポンジや泡立てネットで泡立てるとすごく泡立ちます。
この違いはいったい、どうしてでしょう?
今回はシャンプーの泡立ちと、洗浄力についての話です。
洗剤(界面活性剤)と泡立ちの関係
シャンプーなどの洗剤の主成分は界面活性剤というもので、ひとことで言えば「水と油を混ぜるもの」ことです。
この水と油を混ぜる仕組みは、界面活性剤が油となじむ部分(親油基)と水になじむ部分(親水基)の両方をもっているからです。
この性質によって界面活性剤は、油の成分を分解し、水に混ぜられるほど小さい形に包み込み、水と混ぜるようにしてしまいます。
つまり界面活性剤は、水中では集まる性質があるのです。なので、中心部に油成分がなくても親油基を内側に、親水基を外側に球状に集まります。周りはすべて水ですから、親水基側が外側になって集まるのです。
そしてこれは、空気にもおこります。つまり空気を内側にして包むように集まるのです。
これが泡です。つまりシャンプー剤が泡立つのは界面活性剤の影響が大きいのです。
泡立ちと洗浄力との関係
ですが、この泡立ちには条件があります。
それは水中に界面活性剤がくっつくような汚れ(油の成分)がないことです。
水中に油があれば、そちらのほうにくっつきます。なので、汚れが多いと泡立たないのです。
そしてこれは、洗浄力にも関係してきます。
油にくっつくものが多い、つまり泡立ちにくいということは、余分な界面活性剤(洗浄成分)がないということです。
この状態でまだ油汚れがあったとしても、余分な洗浄成分がないので汚れを落とせないのです。
つまり、よく泡立っているということは、洗浄力も十分にあるという証でもあります。
まとめ
間違えてはいけないのは、汚れにくっついていない洗浄成分が泡立っているということです。泡立てると洗浄力が高まるというわけではありません。化粧のクレンジングは泡立たなくても、よくメイクを落としてくれますよね? そういうことです。まあ泡立つとまんべんなく洗浄成分を塗布しやすくなりますので、そういった意味では洗浄効率は上がります。
この理屈でいえば、シャンプーでは(シャンプー剤が変質してない限り)泡立ちによって髪の汚れのあるなしが判断できます。汚れがないと泡立ちがよくなりますからね。シャンプー時によく泡立てば、それは汚れが落ちたという証拠にもなります。
ただし、シャンプー剤の中には泡立ちを助ける成分(両性界面活性剤といった洗浄力は低いが泡立ちがよい成分など)が入っているモノもあります。ですので、全てのシャンプーにその理屈が通るわけではありませんが、泡立ちにくいときは髪の汚れのほうが勝っている可能性が高いと思われます。
その場合は、シャンプー剤を足すか、もう一度洗うなどして、汚れをしっかり落としてください。
これ以外の可能性としては、シャンプー剤の品質の変化(雑菌の繁殖など)などが挙げられます。 ↩︎