男性の脱毛症の原因で、もっとも多いと言われるものが、「AGA」と呼ばれる男性型脱毛症。

とはいっても、とても有名なこの症状。検索すれば多くの情報が得られます。

ひょっとしたら、わざわざ話す必要などないのかもしれませんが、ちょっとまとめてみます。

男性型脱毛症とは

男性型脱毛症( androgenetic alopecia、AGA )は、男性の薄毛や禿(ハゲ)で、もっとも多いと言われる症例。その割合は、男性が発症する脱毛症の90%以上が、この脱毛症だと言われています。

統計データから男性全体の約30%の人が男性型脱毛症を発症していると言われています。これがよく「3人に1人(30%→10人のうち3人→3人のうち1人)が発症する」と言われる根拠です。

このデータは20歳以上の成人男性を対象としています。傾向としては若い人には発症数は少なく、年齢が上がるにつれて多くなります。

また、過去のデータから見て、発症の割合は約30%と過去と現在とでは、さほど変わりなく、そのためシャンプーなど外的な要因による影響は、ほぼないと言われています。

どちらかと言えば両親や祖父母から受け継ぐ遺伝的な要素が強いと言われています。

簡単にまとめますと、次のようになります。

  • 男性の脱毛症のほとんどが男性型脱毛症
  • 男性の約30%が発症する可能性がある
  • 遺伝的な要因が強いと言われている

男性型脱毛症の症状が表れる場所

生え際や、つむじ周辺など部分的に集中して表れることもありますが、前頭部および頭頂部部分、つまり側頭部や後頭部以外の頭髪上部に薄毛や禿髪(髪の毛が抜けてはげること。また、そのような頭のこと。)が見られるようになる症状です。

生え際の場合、生え際の後退(「M字ハゲ」など)が表れることもあります。

なお、側頭部(頭の横側)や後頭部やえり足付近に症状は現れません。男性でこれらに薄毛や抜け毛の症状が現れている場合、男性型脱毛症以外の脱毛症の可能性が高いです。

要点をまとめますと、次のようになります。

  • 症状は頭部上部に表れる
  • 生え際・つむじ周辺に集中的に表れることもある
  • 生え際が後退する場合もある

男性型脱毛症の症状が、表れる状態

症状は少しずつ表れます。

まず髪の成長が阻害されるため、髪の毛が痩せていきコシも弱くなってきます。ですが、よほど日頃から気にしていないと分からないので、初期の頃に自覚するのは難しいと思います。

症状が進行していくと、一つの毛穴から2、3本と髪の毛が生えていた場合、その本数が減り、2本または1本となっていきます。これだけでも髪の毛全体の本数でいえば、かなり減っています。ですが、もともと髪の毛の本数は万本以上と多いので、少し程度、しかも毎日ほんの少しづつ減っていくとなると、気づきにくいと思います。

そしてもっと進行すると、髪の毛が細くコシがなくなる「髪の軟毛化」が確認できるようになります。

髪の軟毛化とは、従来の髪の半分以下の太さまでしか成長しない状態を指し、産(うぶ)毛のように細くコシもない髪になることです。

さらにもっと進行すると髪の毛は2,3センチ以下程度の、ほんとうに産毛のような状態しか成長しなくなります。

そして最終的には髪が頭皮から出る前に成長が止まり抜けてしまい、髪が生えてこなくなります。

簡単にまとめると、このようになります。

  • 最初は分からないぐらい、少しずつ進行していく
  • 一つの毛穴から生えている本数が減るなど、気づきにくいが症状が表れ始める
  • さらに進行すれば髪が軟毛化し、最終的には生えてこなくなる

また、これら症状とは別の特徴として、頭部の皮脂の分泌量が増えるや、ヒゲなど髪以外の毛が濃くなるといった症状が表れることも確認されています。これらの症状は、男性型脱毛症を判断する上で重要な要素です。

男性型脱毛症の原因

この症状の原因を簡単に言えば、髪の成長が阻害されていることで生じます。

髪はヘアサイクルという成長→休止(自然脱毛)というサイクルをしているのですが、その成長期間中に、その成長を阻害する因子が発生し、髪が従来どおり育たなくなっていきます。

この症状の進行すると、髪の成長期から休止期にすぐ移行するようになります。例えば単純に成長期一年で休止期に移行すれば、髪は10センチぐらいしか伸びません。

また成長期が短くなると、頭髪全体の休止期の毛穴の割合が増えます。例えば従来は全体の10%が休止期の髪の毛なのですが、症状が進むとこれが15%、20%と増えていき、それにともない髪の毛全体の本数が少なくなります。

男性型脱毛症のメカニズム

では、この成長を阻害する因子がどのようにして発生するのかと言えば、その鍵となるものが受容体と男性ホルモンです。この二つにある条件がそろえば、成長を阻害する信号が発生するのです。

受容体

ここで言う受容体とは、正確には男性ホルモン受容体( androgen receptor、AR )と言います。

この受容体は髪の毛を作る毛乳頭細胞にふくまれていて、受容体自体は遺伝子によってさまざまなタイプがあります。その内の一つのタイプの受容体に、男性ホルモンの一つジヒドロテストステロンと反応すると、髪の毛の成長を強力に抑制したり、アポトーシス(細胞の死)を起こさせる因子( TGF-β1 )が発生するのです。

この因子は同時にヒゲの成長をうながす効果もあります。男性型脱毛症を発症したらヒゲが濃くなるのは、このためです

また、この受容体を持つ髪の毛は、頭の上部とヒゲやワキ毛などに多く存在します。それら以外の側頭部(サイド)や後頭部の髪の毛にはこの受容体がないので、それらの場所では男性型脱毛症は発症しません。

この受容体を髪の毛が持つかどうかは、遺伝子によって決められています。つまり両親や祖父母などからの遺伝によって、この受容体を持つ傾向の強さが変わってくると言われています。

男性ホルモン

男性ホルモンといっても、実際は男性に必要な数種類のホルモンの総称を男性ホルモンと言います。

その内、薄毛に関係しているのはジヒドロテストステロン( dihydrotestosterone = DHT )という男性ホルモンです。この男性ホルモンは本来、胎児の男性器の形成に欠かせないホルモンで、これが不足するとお母さんの体内にいる胎児の男性器に形成不全が生じることがあります。

また、皮脂の分泌が増える効果があり、ジヒドロテストステロンが増えると、皮脂の分泌量が増えるという変化がおきます。「発症したら皮脂の分泌量が増える」と言われるのは、このためです。

このジヒドロテストステロンは、元は男性において重要なホルモンである「テストステロン」というホルモンです。これが5αリダクターゼ( 5-alpha-reductase )と言われる酵素によって変化したものです。

この5αリダクターゼがテストステロンをジヒドロテストステロンに変化させる理由は実はよく分かっていません。また、この 5αリダクターゼの量も個人差があり、遺伝によって変化すると言われています。

この男性ホルモン受容体とジヒドロテストステロンというホルモンが結びつくことで、髪の成長を抑制または阻害し、それにより髪が成長しにくくなるのです。

まとめ

男性型脱毛症の症状や原因のまとめは以上です。

今、使われている男性型脱毛症の治療薬は、もともとは前立腺肥大を抑制するために、その原因となるジヒドロテストステロンを抑制するために開発されたものが始まりです。この薬を使用した人の中に、髪の毛が生えてきた人が表れたのがきっかけです。

同時に、それにより長年謎だった男性型脱毛症のメカニズム解明のきっかけとなりました。その成果で現在、効果が期待できるさまざまな育毛剤も開発・販売されています。

治療が困難だった男性の薄毛や抜け毛に、これほど明るいニュースは今までありませんでした。今や当然となっている男性型脱毛症の治療法も、こうした偶然と研究によって日々進化しています。